現在の気候危機を脱出するには今の排出をゼロにするだけでは足らず、産業革命以来、大気や海にたまりにたまった二酸化炭素を回収しなければならないことは自明です。ネッツ(negative emission technologies)の出番です。それにEUが漸く取り組むようです。
欧州委員会が今年中に纏める政策文書に、農業(土壌)や林業(樹木)分野での二酸化炭素捕集に関するEU全体に亙る認証制度について来年2022年に審議することが記載されるとのことです。
ネッツには、植林やバイオ炭のように比較的「自然に基づいた解決策(nature-based solutions)」として馴染みが良いものから人工樹のように物理化学的な手法による馴染みの悪いものまでが共存しているためもあり、政策レベルではずっと取り組みが避けられてきました。それが気候危機の崖っぷちに立たされて、もはやそうしていられなくなったのです。馴染みが良い樹木や土壌での捕集が抱える課題について検討することから始める模様です。
コロンブスの卵か、はたまた青い鳥か。身近すぎると気づかない。大気・海からの捕集については、まだまだ入り口前で迷走を続けています。