温室効果ガス「実質ゼロ」実現の計画にあたり

 気候非常事態宣言自治体が実質ゼロを実現する計画の仕様書を作成するのに役立つニュースです。

 現在、多くの組織が表明している「実質ゼロ」実現計画は、ばらつきがあまりに大きく、比較ができない状況です。世界資源研究所が運営するサイト「追跡ネットゼロ(Net-Zero Tracker)」を見るとそれが分かります。
多くの国や組織がネットゼロ、カーボンニュートラル、気候中立、ゼロエミッションなどといった表現で実質ゼロを表明していますが、達成時期、対象とする温室効果ガス、削減か捕集かオフセットか、他の国や組織との公平さの確保、SDGsとのバランス、目標進捗を測る手法等々は様々です。

 これでは、一貫性のある仕様書作成はお手あげです。気候変動はローカルな問題だけではありません。地球規模の課題です。宣言自治体が勝手に仕様書をつくれば、更に混乱が増すばかりです。この現状を踏まえて、どういう項目を選び、どのような表現をすればまともな仕様書ができるかを纏めたコメントが科学誌ネーチャに出ています(リンク)。

 一方、すべての国、州など全部で4000を越える主要な組織について実質ゼロ計画の内容を評価した報告書をオックスフォード大学のグループなど(The Energy & Climate Intelligence Unit and Oxford Net Zero)が出しました。総合点でスウェーデンが一番だそうです。この報告書による評価基準を参考に仕様書を用意すれば、良い実質ゼロ実現計画ができるでしょう。