日本学術会議のサイトに、「ネットゼロと気候変動影響に備えた未来―科学・技術と変化のための解決策」と題する学術団体による国際共同声明(英国、日本、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、アメリカが参加)が公表されています(サイト)。この共同声明は、今年2021年3月24日に英国王立協会主催で開かれた「Gサイエンス学術会議2021」で採択されたものです。:共同声明本文(サイト)。
共同声明の概要(サイト)は以下のようです。
気候変動を、とりかえしがつかなくなる状況を回避するためには、気温上昇幅を2℃より十分低い水準、より望ましくは1.5℃以内に抑える必要があり、そのためには 2050 年までにネットゼロを達成しなくてはならない。排出量大幅削減を実現するに当たっては、すでに実用化された技術の普及を迅速に進めるとともに、未だ実用化に至っていない技術の早期開発及び実用化が急務である。G7諸国は、これらの低炭素技術の開発及び普及により注力し、将来にわたって炭素排出を固定化してしまう設備への投資を回避しなくてはならない。
十分にマネジメントされた緩和策や適応策は、持続可能な開発目標(SDGs)と整合する。食料・水の確保や貧困撲滅、エネルギーへのアクセスといった他の社会目標の達成も保証しつつ実施されることが重要である。ネットゼロ実現に向けたロードマップを提示する上で、科学技術は重要な役割を担う。科学は、また、気候変動現象の進行状況を把握し、気候変動の影響に対して適応していく上でも重要な役割を果たす。
提言
1)科学、経済学、社会科学等の助言を受け、また定期的に更新されるネットゼロ未来構築に向けた技術ロードマップをできるだけ早期に作成する。このロードマップは、気温上昇幅を産業革命前比2℃より十分低い水準、望ましくは1.5℃以内にとどめるために、開発や普及すべき技術について助言すべきである。
2)ネットゼロ達成に必要な主要な研究開発活動への官民の投資を増額し、変革の速度を速める。これは、国家政府が主導し、G7諸国の多国間協力を通じて実施されるべきである。
3)中低所得国が気候変動影響に十分備えつつネットゼロの未来を構築するための活動支援に向けて協力する。
4)炭素中立な選択肢に経済的インセンティブを付与する政策パッケージへの合意に向けて協力する。
問い合わせ先:
日本学術会議事務局
Email: g.science.u3t@cao.go.jp