絶滅から回復へ 熱水活動

先月、ユカタン半島にあるマヤ文明の遺跡「チチェンイツァ」で、ドイツ人の男性観光客が立入禁止区域に侵入して階段を駆け上がり、ピラミッド頂上にある神殿にまで入ってしまったという事件がありました。この日は、マヤの最高神「ククルカン」が天から降臨する特別な日で、降臨の儀式が行われていたのですが、その最中に監視員の制止も聞かずに登っていきました。まったく、困ったものです。幸いにも遺跡に損傷はありませんでしたが、その男性は、怒った周囲の人たちにぶん殴られたそうです。ガツンとやられて痛かったでしょうが、これをきっかけにして他国の遺跡や文化を尊重する心を持つ人間に生まれ変わってくれることを願います。

6600万年前、ユカタン半島沖に小惑星が衝突し、無数の生物たちがガツンとやられました。恐竜絶滅の原因にもなった、あの事件です。一瞬にして大量絶滅が起こりましたが、衝突地点においてはその後数万年以内で生態系は回復しました。「数万年」は人間を基準にすると長い年月ですが、クレーター内の堆積物を調べた先行研究によってそれが判明するまでは、回復にはもっと長い時間がかかっただろうと想定されていたので、数万年以内で回復したのは意外だったのです。しかし、その原因はこれまで解明されていませんでした。

その疑問に一石を投じる研究成果がありました。

6600万年前の小惑星衝突がもたらした特殊な海洋環境
メキシコ湾の急速な生命復活はクレーター内の熱水活動により駆動されていた
(九州大学、2025年4月8日)

メキシコ湾では、小惑星の衝突後の海底下で衝突エネルギーを熱源とした熱水活動が起こって、岩石に含まれる金属や栄養分が海水中に溶け出し、生態系の回復速度や化石群集の顕著な移り変わりに大きな影響を与えた可能性があることが分かったのです。

「破壊と創造」なんて言葉をよく聞きますが、やはりガツンとやられると、何か新しいものが生まれるんですね。

さて、株式会社シンク・ネイチャーの主催で気候変動と生物多様性についてのセミナーが開催されるのでご案内します。

名称: 気候変動と生物多様性:カーボンニュートラルとネイチャーポジテイブを統合した事業戦略
日時: 2025年4月25日(金)14:00~15:00 
会場: オンライン 
主催: 株式会社シンク・ネイチャー
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

気候変動と生物多様性の危機を一体化した問題ととらえる動きが進んでいます。一方で、先行する気候変動対策が、新たなコモディティ調達や再生可能エネルギー生産のための土地改変といった形で、生物多様性の損失のリスクになりうることも知られるようになりました。

個社の事業で実施可能なスケールで、こうした地球規模のリスクに適応したアクションをどのように設計できるかが、事業の存続性を左右する戦略的課題として顕在化しています。

本ウェビナーでは、シンク・ネイチャーの経験に基づき、不動産の開発や通信事業、熱帯コモディティの調達など、サプライチェーンの様々な階層で、具体的にどのようなアクションが可能であるかをご紹介します。

○プログラム
 ・経営戦略レベルで考えるカーボンニュートラルとネイチャーポジテイブ
 ・ネイチャーに配慮したカーボンニュートラルなエネルギー計画の作り方
 ・カーボン・ネイチャーを一体分析する新ツールのご紹介

登壇者:
代表取締役CEO 久保田 康裕
取締役社長COO 舛田 陽介
取締役・市場開拓推進室 室長 五十里 翔吾

詳しくはこちらをご覧ください。