世界をつなげたグッタペルカ

「グッタペルカノキ」という木があります。なんとなく絵本に登場しそうな可愛い響きの名前ですが、英語名がGutta Percha(ガタパーチャ)という樹木で、成長すると高さ30mにもなる常緑樹です。その樹液から作られる「ペルカゴム」は通常の(パラゴムノキから作る)天然ゴムよりも固くて強いのが特徴です。

成形が容易で固くなるので原産地のマレーなどでは昔から様々な道具に利用されていましたが、1843年にロンドンに持ち込まれ、いろんな家庭用品・工業用品に使われるようになりました。まだ合成樹脂プラスチックがなかった時代なので、「夢の素材」だったようです。例えば、この素材を使ったゴルフボール「ガティ」は安価で耐久性に優れていたので、ゴルフが広い階層の人々に親しまれるきっかけとなりました。

ガタパーチャにはさらに優れた特性がありました。イギリスの物理学者マイケル・ファラデーがその絶縁性の高さを発見します。また海水に強くて劣化しないことから、やがてガタパーチャを皮膜に使った海底ケーブルが製造されるようになり、ドーバー海峡を皮切りに、大西洋、インド洋など世界中で敷設されていきます。日本でも1871年に初めて海底ケーブルが敷設されました。グッタペルカノキという一つの木が、世界をつなぐのに大きな役割を果たしたんですね。

ところで最近、北欧のバルト海でパイプラインや送電・通信海底ケーブルの破壊や損傷がなかなかの頻度で発生しています。いずれもなんらかの破壊工作だと考えられていますが、こんな何百km単位で設置されているケーブルを守るなんて大変なことだよなぁ、と改めて考えさせられます。

日本では洋上風力発電について2040年までに30~40GWの案件形成を目標としています。当然、多数の海底ケーブルが敷設されることになりますが、洋上風力発電が進んでいる欧州に比べて遠浅の海域が少ない日本では敷設技術やコスト、維持管理も課題となります。

そんな中、「じゃあ、いっそのこと船で運んじゃえば」という驚きの発想が生まれました。日本のベンチャー企業パワーエックスが、世界初となる「電気運搬船」を開発しています。

パワーエックス:世界初の電気運搬船、初号船「X」の詳細設計を発表(2023年5月25日)

運搬船のPower Arkと、バージ船のPower Bargeの2種類を開発しています。Power Arkは96個の蓄電池コンテナを搭載し、24万キロワット時の電気を運べる仕様です。これは一般家庭60世帯ほどの年間消費量に相当します。離島や被災地への電力供給など、機動的な運用ができるのもメリットですね。

2026年に初号船が完成する計画なので、これはちょっと楽しみですね。

さて、東京都環境局が事業者向けセミナーを開催するのでご案内します。

名称:事業者向け 省エネ・再エネ推進セミナー  
日時:2025年3月7日(金)13:00~16:00  
会場:オンライン  
主催:東京都環境局  
参加費:無料  

主な内容:下記HPより抜粋  
○ 開会挨拶  

○ 再エネに関する講演  
「脱炭素に効果的な再エネ電力の調達方法~市場動向や経済性など~」
公益財団法人自然エネルギー財団 研究局長 石田雅也 氏

○ 省エネに関する講演  
「既存建築物の省エネ改修をどうやって促進するか」
千葉大学大学院工学研究院 准教授 林立也 氏

○ パネルディスカッション  
「2030年以降を見据えた省エネ改修に向けた方策」
・ 千葉大学大学院工学研究院 准教授 林立也 氏(モデレーター)  
・ 株式会社日本設計 執行役員 第1環境・設備設計群長 竹部友久 氏
・ 大成建設株式会社 設計本部 設備計画部長 豊原範之 氏

○ 東京都の取組  
1. 省エネ改修に関する支援策
2. キャップ&トレード制度
3. 地球温暖化対策報告書制度 
○ 閉会挨拶 

詳しくはこちらをご覧ください。