生活費のやりくり トカゲも大変

「生活費が圧迫されているトカゲもいるそうだ」と聞くと、「トカゲといえばエリマキトカゲ。それくらいしか思い浮かばないなぁ」という人でもちょっと親近感が湧いてくるかもしれませんね。

1月17日に発表されたメルボルン大学の研究では、アフリカとオーストラリアの砂漠に生息する10種のトカゲについて調べました。その結果、アフリカの砂漠に生息する昼行性のトカゲは、必要なエネルギーが気温上昇のせいで増えているのに、それを満たすための餌探しに使える時間が減っているそうです。ところが反対に、夜行性のトカゲは夜が暖かくなるため餌探しの活動時間をより長く確保できるようになっていることも分かりました。

メルボルン大学:Climate change driving ‘cost-of-living’ squeeze in lizards
(気候変動がトカゲの「生活費」を圧迫/2025年1月17日)

この研究を主導したクリストファー・ワイルド博士の例えが面白いんです。トカゲが生きるのに必要なエネルギーを人間で言うところの「生活費」に置き換えて、「つまり、昼行性のトカゲは労働時間が少ないのに高い請求書を支払っていて、その一方で、夜行性のトカゲは暖かい夜に労働時間を増やすことで高い請求書に対処できている、みたいな感じなのさ」と述べています。

アフリカの砂漠で1匹のトカゲが草陰にへたりこんで「うー、なんで最近こんなに暑いんだヨ。腹は減ったし喉も渇いた。だけど暑すぎて狩りに出かける気にならんわ。たまらんなぁ…」と言っている姿が目に浮かびます。

もう一つ興味深いのは、オーストラリアの砂漠に住む昼行性のトカゲにはこの生活費圧迫の現象は明らかには見られなかったということです。温暖化の影響とひとくちに言っても、それぞれの種や生息環境、生態によってその影響は様々なんですね。

さて、地球環境戦略研究機関が「身近にせまる気候危機と、サプライチェーン全体に求められる転換」をテーマにイベントを開催するのでご案内します。

名称: 「身近にせまる気候危機と、サプライチェーン全体に求められる転換」
日時: 2025年3月7日(金)15:30~18:00
会場: TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(新宿区)/オンライン
主催: 公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)
参加費: 無料

主な内容: 下記HPより抜粋

○開会挨拶
武内 和彦 公益財団法人 地球環境戦略研究機関 理事長

【身近に発生した気象災害・酷暑と、気候変動の影響 ~ 重要さが増す脱炭素対策 ~(仮題)】
・渡部 雅浩 東京大学 大気海洋研究所 気候システム研究系 教授
・今田 由紀子 東京大学 大気海洋研究所 気候システム研究系 准教授

【脱炭素政策・経営を取巻く環境から見た変化の方向性(仮題)】
・高村 ゆかり 東京大学 未来ビジョン研究センター 教授

【自社の脱炭素から、サプライチェーン全体の取組へ ~気候危機・政策転換を踏まえた企業の動き~(仮題)】
「サプライチェーン全体へ取組が広がる背景(仮題)」
小田倉 朋也 芙蓉総合リース株式会社 経営企画部 CSV推進室 課長代理

「サプライチェーンにおける企業の取組事例」+「パネル討論」
・小山 勝弘 大和ハウス工業株式会社 経営戦略本部サステナビリティ統括部長
・勝間 篤 株式会社村田製作所 企画管理本部 管理グループ ファシリティ部施設課 マネージャー
・山根 教代 備前発条株式会社 代表取締役社長
・九島 賢太 川崎信用金庫 総合企画部 審査役

○閉会挨拶

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