最近「エビデンス」という言葉をよく聞くようになりました。そこで個人的に思うわけです。「根拠」「証拠」「裏付け」という日本語を使わず、なぜわざわざ「エビデンス」という言葉を使うのか。そちらの方が合理的なのか、効率的なのか。もしそうだと言うなら、それを示すエビデンスはあるのか…。あ、しまった。と、自分でも気づかないうちについ使ってしまうくらいよく聞きますね。
以前は、自然保護、環境保全、生物多様性の保全活動については、個人や集団の独自の経験や知識に基づいて行われることが多かったそうです。そんな中、2000年にイギリスのウィリアム・ジェームズ・サザーランド博士が「科学的根拠に基づいて保全政策に関する意思決定をしよう」と提唱し始めました。これが「エビデンスに基づいた保全」(evidence-based conservation)と呼ばれる概念です。
サザーランド博士は2004年に”Conservation Evidence”というウェブサイトを立ち上げました。17か国語で書かれた160万件の研究論文を精査して、あらゆるタイプの生息地と分類群における保全活動の成功・失敗の事例8,600件以上を特定してまとめています。
多言語に対応しているので、日本語でも読むことができます。カエルでもイルカでも、興味のある生き物についてちょっと見てみると面白いですよ。こんなに多くの研究事例があるんだ、と驚かされます。
このサザーランド博士が2024年のコスモス国際賞を受賞しました。この受賞を記念して講演会が行われますので、ご案内します。
名称: 2024年コスモス国際賞受賞記念講演会「効果的な環境保全施策と実践のために」
日時: 2024年11月16日(土)13:00〜15:00
会場: 東京大学/オンライン
主催: 公益財団法人国際花と緑の博覧会記念協会
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
【プレゼンテーション】
コスモス国際賞選考経緯・受賞者紹介
池谷 和信 氏(コスモス国際賞選考専門委員長、国立民族学博物館名誉教授)
【受賞記念講演】
「効果的な環境保全施策と実践のために」
ウィリアム・ジェームズ・サザーランド博士
(2024 年コスモス国際賞受賞者、ケンブリッジ大学動物学科 研究部長)
【対談】
「エビデンスに基づく保全」
対談者:
ウィリアム・ジェームズ・サザーランド博士
石濱 史子 氏(国立環境研究所 主幹研究員)
コーディネーター:
宮下 直 氏(コスモス国際賞選考専門委員、東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
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