結論「バナナの皮を捨てるなら、川」ではない

「川や湖では有機物の分解が遅いのはなぜなのか?」
事情をよく知らない私のような人間が聞くと、そんなややこしい話ではなさそうに聞こえますが、実はこれは50年以上も科学者を困らせていた謎だったそうです。

去る4月、この謎をスウェーデンのリンショーピン大学などの研究チームが解明したと発表されました。

リンショーピン大学:化学のミステリー 解明される 巨大炭素吸収源を説明する反応

アマゾン川の4つの支流とスウェーデンの2つの湖で調査を行いました。生物を構成する生体分子は通常、炭素原子が他4つの原子と結合します。結合相手の多くは水素と酸素。ところが淡水の中では、炭素原子は水素とは結合せず、主に炭素と結合していることが分かりました。多くの炭素原子が他の3つの炭素原子、そして1つの酸素原子と結合している状態でした。これは生体分子のなかでは、非常に稀な構造なのだそうです。

そしてこの構造は安定しているため、水中で炭素を吸収したまま長期間保持できる状態になっている。つまり、炭素が二酸化炭素やメタンとして大気中に戻っていくのを長期間に渡って防いでいる、というわけです。そうかといってバナナの皮を「道端に捨てるよりマシでしょ!」とか言って川にポイ捨てしてはいけませんので、くれぐれもご注意ください。

この発見は、地球上の重要な炭素吸収源の仕組みを説明し、大気中の二酸化炭素を減らすことに繋がっていくようです。それにしても、自然界で起こっていることにはまだまだ謎がたくさんありそうですね。

さて、環境の研究を50年続けてきた国立環境研究所が特別講演を行いますので、ご案内します。

名称: 国立環境研究所創立50周年記念事業 公開シンポジウム特別講演 
    「国立環境研究所の軌跡と展望〜公害、環境、そして・・・〜」

日時: 2024年6月12日(水)14:00〜16:45 
会場: オンライン 
主催: 国立環境研究所
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

【公開シンポジウム創立50周年特別講演】
開会挨拶 理事長 木本 昌秀

西岡 秀三 (地球環境戦略研究機関 参与)
「人と自然の調和を目指して〜環境科学を切り拓いた50年〜」

山本 裕史 (環境リスク・健康領域 領域長)
「ヒトと生き物の安全・安心のために」

谷本 浩志 (地球システム領域 副領域長)
「地球環境研究のこれまでとこれから〜新たな研究のあり方〜」

閉会挨拶 理事 森口 祐一

【国立環境研究所創立50周年記念式典】

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